o3c9

4 minute read

先日から空き時間を見つけては,将棋ソフトで対局したり初心者向けの解説書を読んで勉強している.10日ほど前に,ニンテンドースイッチを使って,妻と対局してみたら,あっという間に王手を詰められてしまい,悔しさのあまり,復讐を果たそうと誓ったわけだ.

将棋教室に通ったこともなく,小中学生の頃に家族と遊んでいたくらいで,ルールすらまともに知らないのだから,負けるのは致し方ない.しかし,自分がいかにド素人とはいえ,悔しいものは悔しいのだ.

折しも藤井聡太棋聖の話題で盛り上がっているし,大人の嗜みとして,将棋くらい打てるようになっておけば,今後の人生の楽しみがまた一つ増えるだろうと,そんな欲張りな気持ちもあったりする.

ニンテンドースイッチ「棋士・藤井聡太の将棋トレーニング」

まず最初に手にしたのが,棋士・藤井聡太の将棋トレーニングというニンテンドースイッチのソフトだ.まさに初心者の私にぴったりの内容で,駒の動かし方(さすがにこれは知っていたが)から,成駒,駒得,王手をかけるまでを,まるで藤井さんに教わるような形で進む.ウェルカムタウンで基礎を確認したら,飛車角の使い方や囲いなどをストーリー形式で少しずつ学んでいける.また教わったことをレーティング対局で生かしていくことで,ステップアップしている感覚をしっかりと感じることができる.

囲いなどの定跡を覚えては,対局で試すということを繰り返すことで,序盤の形作りができるようになってきた,というのが今の段階.しかし,その後どのように攻めていけばいいのか,まだ構想を全く持てておらず,16,17級のAIにもボロボロと負けてしまう.

ストーリーを進めれば,そういった展開についても教わるのかもしれないが,ゲームを進めるのための対局で負けてしまい,次に進めないので,別のリソースとして,棋書にもあたることにした.それがこちら.

羽生善治「上達するヒント」

Amazonの評価も高く,またいくつかの将棋ブログでも名著と絶賛されている本書.残念ながらKindle化はされていないので,わざわざ梅田まで出て買いに行ってきた.ヨーロッパの素人棋士たちの棋譜をもとに羽生先生が「対局中にどんなことを考えるべきなのか,気をつけるポイントや上達の鍵となるアドバイス」を丁寧に説明してくれる.ほぼすべてのページに対局中の状態を示す図があり,このときこうすればよかったとか,この手は悪手だったとかと解説がされていて,非常に実践的であるし,対局が素人同士なので,自分がやりそうな過ちを彼らがやらかしては,羽生さんにつっこまれるというのをふむふむと読むことができるわけだ.これだけでも十分面白いのだが,この本が名著だとされているゆえんは,これらのアドバイスがその場限りにとどまるものではなく,局面を越えて,普遍的に使える「将棋の考え方」にまで見事に昇華されていることだろう.

ただ,普通にページをめくって読んでいくだけでは,素人では局面がわからなくなってきてしまうので,将棋盤や将棋ソフトを使って対局を手元で再現しながら読むと,非常にわかりやすくなる.

とても濃密な本なので,一日に一章(=1対局分)読むだけでお腹いっぱいになる.ほんとにいい本に出会えて嬉しいし,羽生さんのすごさは,天才でありながら,自分の思考を万人にわかりやすく伝える技術をお持ちであることだろう.つまり,最高.

将棋ソフト「将棋所」+将棋エンジン

うちには将棋盤がないので,上記の本を読むのに,将棋ソフトを入れてみることにした.私はMacBookを使っているので,将棋所Mac に,やねうら王を入れた.評価関数には,Kristallweizenを利用してみた.このあたり素人なので,2020年最強のソフトを使う必要もないのだが,せっかくなので新しいほうがいいかなということで.

本を読みながら,将棋所に棋譜を入力していくと,何度も前に戻って手を再現したり,あるいは分岐を考えたりすることができて,めちゃくちゃ楽しくなってきた.

エンジンの成果を試したくて,やねうら王+KristallweizenのAIエンジンと人間の対局にして,将トレのAIが打ってきた手を将棋所に人間としてぼくが入力することで,これまで負け続けていた15級あたりの将トレAIに,余裕で勝つことができるようになった.それはもちろんチートなのだが,強い人(AI)というのは,どういう手を打つのか,というのを実感してみるという意味ですごくいい経験だし,たまに練習対局で,AIエンジンの手を体験するのは続けていきたい.(レーティング対局はもちろん自分の実力で勝負する!)

comments powered by Disqus