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最近のわたしはというと、NLP(自然言語処理)の関心から幅を広げて、言語学と認知科学のいろいろな領域に手を伸ばしはじめているのだが、ついに、人間の言語処理における物理レイヤ、もっとも低レイヤである脳(中枢神経系)に手を出してしまった。

そもそもSteven Pinkerの"The Language Instinct"など言語学の本を読んでいても、脳の説明になった途端にさらりと読み飛ばすくせがついており、長い間関心はありつつも、開けてはならないブラックボックスのように、避けて通ってきた。

しかし、長い間ずっと気になってはいた。脳科学者と呼ばれる人たちの発言力が増していたが、うさんくさん人も多く、彼らの出す本もはやりバズワードとして脳科学が枕詞として添えられているだけであることも多い。 最近の機械学習ブームの火付け役となった深層学習はニューラル・ネットワークからできており、その構造はもちろん脳を模したものである。

意識とはなにか、言語とはなにか、そういったことを考えるにあたって、やはり脳の働き方について、信用ならない情報にまどわされず、自分で文献を読めるようになる程度には理解しておかないといけないのではないか。そんな妄想に取りつかれてしまい、ついにMOOCで本格的に脳に向き合う決心をした。

今回選んでみたのが、またもやCourseraで人気のコースである、デューク大学Leonard White教授による「Medical Neuroscience」。

Week1を見始めると、脳科学の授業に入る前にとても丁寧に受講の仕方、勉強の進め方について教えてくれる。前回ブログで紹介したバーバラ・オークリーの「Learn how to learn」にも言及されていた。

TAの方がつくったサポートサイトであるWelcome to Learn Medical Neuroscience - Learn Medical Neuroscienceがよくできていて、講義に加えて、このサイトを参照すると、非常に理解が進みそうだ。

さて、Week1を終えたところなのだが、今の感想はというと、「とても難しい」だ。

そもそも、ずっとソフトウェア・エンジニアをしてきた身にとって、生物学は遠い過去の知識だ。たまに趣味程度にポピュラーサイエンスの本を読む程度で、細胞の構造など高校生物の範囲ですら記憶のあやしいところは多い。

コンピュータ・サイエンスなら英語で困ることはないが、さっそく無限に医療系の英語が飛び出してくる。 もちろん字幕があり、ググればいいのだが、ググって出てきた日本語がわからない、あるいは正しいのかどうかわからないことも多い。

日本語でもわからないのであれば、知らない単語をはじめから英語で覚えると決めてしまえば、翻訳という点において苦労はないのだが、それでも、ひとつひとつの言葉が難しい。 こればっかりは覚えてしまわない限りはどうしようもなさそうなので、Ankiでデックをつくることにした。

Week1の内容は、脳を構成する組織について。 つまり、ニューロン、グリア細胞、そして、脳血管だ。ニューロンの構造、グリア細胞の種類と役割、脳血管の働き方について説明がなされる。 あとは脳の部位についての説明や脳における方向を示す用語の説明など。

テキストとして、講師のホワイト教授も編者に名を連ねているOxford University Pressの"Neuroscience" 5th edition (または6th)

かつて留学していたときもそうだったけれど、授業の英語についていくのが精いっぱいの時は、事前に教科書で十分予習しておかないといけないということになりそうだ。

敷居は高いし、思ったよりも難易度は高そうだけれど、新しいことを学ぶのは新鮮でかつ楽しいので、修了まで走りきる宣言をこのブログでしておきたい。 どなたか一緒に走ってくれる人はいないだろうか。

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